インタビュー

障害のある人たちと、一緒に生きていったほうが得です

投稿日:2016年6月12日 更新日:

NPO法人ぷかぷか代表 高崎 明さん

横浜市緑区のNPO法人ぷかぷか (カフェベーカリーぷかぷか・ぷかぷかカフェ・おひさまの台所・アート屋わんど)の代表理事。これらのお店の他に、月1回のパン教室、演劇ワークショップ、マルシェなどを企画し障害者であるぷかぷかのメンバーさんと地域の人々と交流をはかっています。

高崎さんの障害者への想い

障害者と言われている人たちをどんなふうに見るのかなんだけど、それは大きい小さい(大人子ども)関係なく、ほとんどの人が「支援の対象」で見ていると思う。

僕は障害のある人と一緒にいると、なんかすごく心が豊かになる。それはもう大きい小さい関係なくね。だから「障害者を支援する」のはなんか違うと思う。

僕は彼らとずっと一緒に生きていきたいと養護学校(現在の特別支援学校)の教員時代から思っていました。一緒に生きたほうが得、得ですよ。初めから支援しようとは全く思っていない。なので教員を退職した後、一緒に生きていく手段として、パン屋、アート屋、惣菜屋、カフェを福祉事業所として登録しました。

takasaki

流れに任せていたら彼らに出会ってしまった

初めに出会ったのは養護学校の子どもたち。それはもう本当に楽しかった。

もともと普通の会社員だったんだけど、ある大学の先生の授業をきいて「授業ってこんなに面白いんだ」と感動した。教員免許を自分は持っていなかったから通信の教員免許を取った。特に養護学校を希望していたわけではなくて、事前にアンケートがあって、養護学校がいい、養護学校嫌だ、どちらでもいいという選択があって、なんだかよくわからなかったから「どちらでもいい」に丸したの。

そしたら養護学校から「来てほしい」って電話が来たの。別になりたくてなったわけではなくて、電話がきたからその流れでね。そしたら彼らと運命的に出会ってしまったんだよね(笑)

養護学校教員時代

大変なことはいっぱいあったよ。どうしたらいいのかわからなくておろおろする毎日。

だけどさ、おろおろしながらすごい楽しいの。はっはっは。

雨が降ると外に飛び出しちゃう子とか、お漏らしするとパンツ脱いじゃう子とかさー。困り、悩みながらも、なんか自分の中の規範がどんどん取れてきたというか。こうこうだからこうしなきゃいけないとか。こんなことしちゃいかんとか、そういう規範がどうでもいいんだなと思い始めたの。

そうしたら自分がすごく楽になった。すごく楽しい日々を送りながらどんどん規範が取れて、自分が自由になったのが大きかったね。

学校の教員なんて99%彼らには指導しなくてはならないと思っているのが現実。まあ他の先生とは全然考えが違ったけど、叩かれても全然平気だったね(笑)

養護学校ではずっと芝居作りをやっていました。芝居小屋という場所を作っていたんだよ。最初は怪しがられたんだけど、でもあそこにいけば面白いことがあるってみんな何となくわかってくるんだよね。台本通りにやる芝居ではないし、どうなるかわからない。その時にこちらがどう動くが勝負どころなんだけど、普通はここを歩きなさいとか台本に書いてあってその通りにしなくちゃいけないんだろうけれど、そこを外れるところが生の舞台のスリリングでね。

観客を巻き込んで一緒に舞台を作っていましたね。観客と一緒に舞台を作る形はフィリピンにワークショップを学びに行った時に体験したんですよね。ワークショップってフィリピンから入ってきたんですよ。そこで学んだことを学校の中でやっていました。お客さんがすごく面白いって言ってくれて。いやーこんな楽しいの初めてですって・・・当たり前ですよ。障害のある子どもたちも参加して、それをみんなで支えていくんですよ。それが自然と出来た。それが、今の演劇ワークショップにつながっている。

困っていること、悩んでいること

もともと、趣味でパンを作るのが好きだったので始めたんです。

ところが、家で作るのとは違って、やはり経営して利益を上げなくてはならないですから、その辺は難しかったですね。

そして「障がいのある人たちが作ったパンだから買ってあげる」という関係に寄りかかるのではなく、「パンがおいしいから買う」という関係を作りたかった。

だから材料を選ぶのに、試行錯誤しました。なのでパン屋はさして儲からない(笑)

ぷかぷかは毎日「障がいのある人たちの就労支援」という「福祉サービス」を行い、その「仕事に対する報酬」をもらって運営しています。

ぷかぷかは彼らの「いい仕事」を提供しようとしています。
楽しくて、やりがいがあって、彼らの日々を、人生を支えるような仕事です。

しかしこの「いい仕事」を提供しようとすると、人手、設備投資に莫大なお金がかかります。ところが今の国からの福祉サービスの報酬は、サービスの「内容」「質」は全く評価しません。ただ障がい者の頭数を数えるだけです。ですから「いい仕事を提供しようとすると」どんどん経営が傾くことになります。

なので、パン屋を辞めて、ボールペンの組み立てのような単純作業に切り替えた方が、経営的には格段に楽になります。

でも僕は、それは違うなと思うんですよね。

他の所から移ってきた利用者さんがいるんだけど、ぷかぷかで働き始めてから「昔は下を向いていたけど、今は前を向いて生きています。」と言ったんだよね。それがもう物語っているでしょう。

「福祉サービスの報酬」が「障がいのある人たちが働くことに喜びを見いだす」ことを大事にするとか、そういった観点にシフトしないとだめだ、と思っています。

 

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やり始めて気づいたこと

NPO法人の設立目的に「彼らの社会的生きにくさを解消する」みたいなことを一応あげたんだよ。街の人と出会う場所であって、いい関係を作る、というか。初めは僕の中にそういう「彼らのために・・・」って気持ちもあったんだけど・・・。

やっていく中で、地域は実際にどんどん変わってきた。彼らといい出会いをする中で、ぷかぷかが好きです、とかぷかぷかのファンですっていう人が増えてきた。おそらくぷかぷかは地域を豊かにしている。だからぷかぷかって彼らにとっても大切な場所だけれど、それだけでなくて地域に人にとっても大切な場所。ここに来ると心が癒される、気持ちが癒される、っていうね。

だから僕がやっていることって地域を豊かにしているんだなっていうのを実感としてわかってきたのね。ワークショップもそうだけどね。彼らと一緒に生きていったほうがいいって明確にわかる。だから彼らのためもあるけれども、それ以上に自分のためというか、私たちのためにぷかぷかがある。それがだんだんわかってきた。やっぱり彼らは社会に必要。絶対に必要。一緒に生きていったほうがいい。

 

これが確信に変わったんだよ。

 

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障害のあるお子さんを育てているお母さんへメッセージ

宝ですよ。宝。

そう思うよね、本当に。

その子がその地域にいることでさ、地域がものすごく豊かになるはずだし、そういうふうに親が子どものことを見ていってほしい。そのままの姿を社会に出していってほしい。それが一番。

いろんなトラブルもあるかもしれないけれど、それも含めてひとつのお付き合いだからね。トラブルってできれば避けたいと思ってしまいがちなんだけど、すごく大事な場面でもある。じゃあ、どうしたらいいだろうかって腹を割って話し合うことで、お互いがお互いのことを理解できるチャンスでしょう。

まあ親の感性っていうのかなあ。考え方っていうのかなあ。色々大変なことがあっても、毎日楽しいこととか、子どもの新しい発見とか、それを感じられるかどうかが大切だと思いますよ。

 

編集後記

私がぷかぷかと出会ったのは、演劇ワークショップの様子を映画化されたものを観に行ったときでした。それ以来、何とも言えない魅力にはまり、すっかりぷかぷかのファンになってしまいました。障害者の就労支援施設は暗いというイメージを持っていた私は、彼らがぷかぷかで彼ららしく本当に生き生きと働いている姿を目の当たりにし、障害の子どもを育てている一人の母としても、未来に希望が持てるようになりました。高崎さんのような方、そしてぷかぷかのような施設がもっとたくさんできれば、社会も少しづつ豊かに変わっていくような気がします。

 

インタビューアー

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花岡千恵
<発達障がいのお子さんを育てているお母さんの味方カウンセラー>

元看護師。重度の知的障がい児を育てています。どんな個性を持った持った子どもでも、そのままで幸せに生きていかれる世界を目指しています。子どもの絵の読み解き、カウンセリング、子育て講座など、個性的なお子さんを育てているお母さんのを応援します。
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