「もうすぐ入学なのにひらがなの読み書きができない…」

「周りの子どもはもうひらがなが読めるらしい…」

発達に凸凹があるお子さんだと余計に遅れをとってしまうのではと不安になり、どうにかしなければならないと焦っている親御さんが多いのではないでしょうか。

ここでは、ひらがなの読み書きにつまづく理由やひらがな学習に役立つアイテムをご紹介していきます。

発達に凸凹のある子どもによくある「ひらがな」に関する悩みとは?

ひらがなの読み書きに多い悩み

ひらがなの習得方法で悩む親御さんの中で、特に多い悩みが

  • ひらがなが読めない
  • ひらがなが書けない
  • 左右反対に書く(鏡文字になる)
  • 苦手意識があって、取り組もうとしない

というものです。

入学前に少しでも他の子たちに追いつけるように、今から読み書きを練習させたいけれど、どうしたらいいのだろうかと考えてしまいがちですが、その前に知ってほしいことがあります。

ひらがなの読み書きの関係

ひらがなが読めなければ、書くことができません。
書くことができても、ひらがなが読めなければ使うことができません。

「読み」と「書き」は自転車の両輪のようなものなので、どちらも必要な能力です。

夕日と自転車


字が上手に書けないから文字の書き取りの猛特訓をしたり、たくさんのドリルに取り組ませたり、
字が読めるようになるために読んだ文字を全て書かせているなどの方法を取りたくなります。

量をこなせば一時的には効果が見えてくるかもしれませんが、発達凸凹のお子さんにとって
本質的にひらがなを理解したということにはつながりません。
決して、本人の努力不足ではなく、特性による勉強への苦手意識があるからです。

そのため、一般的な方法ではなく、何ができていないのか、
何が苦手なのかを見極めていかないと逆効果となってしまうこともあります。

読み書きができない理由を観察

まずは、ひらがなの読み書きに対する苦手意識やできない理由がどこにあるのかを観察してみることが大切です。

例えば

  • 似たようなひらがなは読み書きができない

→ぬ・ね・わ・れなど、目で見た形をうまく認識できていない。

  • 鏡文字になってしまう。

→左右の認識が未熟。

  • 線がまっすぐに書けない、曲線が書けない。

→運筆(手の運び方)が弱い

  • 絵と文字が一緒にあれば読める

→カルタなど絵と文字がセット

何ができていないのか、何が苦手なのかを見極めていくことで、お子さんに見合った方法が見えてきます。

苦手な部分が現れる理由

発達に凸凹のある子どもの「ひらがな」に関する悩み。

ほとんどのお子さんが自然とひらがなを習得していく中、発達に凸凹のあるお子さんは「苦手」「できない」「嫌だ」という気持ちが出てきてしまうのでしょうか。

苦手意識を取り除いた例

発達に凸凹のあるお子さんの中には苦手意識があると、できるはずのものもできなくなってしまうことがあります。

例えば、鉛筆で縦書きをする際に、小指側の手の端が汚れてしまうことが嫌で文字の縦書きができないお子さんがいました。

下敷きを紙の上にも敷く対応をしたところ、手が汚れることがなくなったおかげで文字の縦書き練習にも取り組めるようになり、文字の習得もスムーズになりました。

苦手意識をなくす、小さくすることができれば、ひらがなの読み書きは楽にできるようになるかもしれないのです。

成功体験の積み重ね

発達凸凹のお子さんの中には、苦手分野を持っていることが気にならないくらい、他の分野でとびぬけた才能を発揮するお子さんがいます。

周囲の大人たちが苦手分野を人並みに引き上げる以前に得意分野での成功体験をたくさん積ませてあげた結果だと思います。

子どもはみんな、楽しいことや嬉しいことは、頑張って取り組みます。

学習に苦手意識が強いお子さんの場合は、お子さんの興味がどこにあるかを観察し、興味のあるところから始めてみるといいでしょう。子どもの好き(興味があること)や得意を肯定することで、前向きな気持ちを引き出すことがポイントです。

そして、学習分野に「楽しい」「嬉しい」が増えるとお子さんの中に成功体験が蓄積でき、ある日才能が開花するかもしれません。

今すぐできる!子どもの「楽しい♪」を増やす方法

学習に苦手意識があるとはいえ、文字の学習をしてから入学してくるお子さんが多いので、少しでもひらがなに興味を示してくれたらと願う親御さんもいらっしゃると思います。

しかし、ひらがなは学習の入り口でもあります。
得意なことや苦手なことは人ぞれぞれであり、発達のペースも異なります。

ひらがなを習得する時期は子どもによって大きな差がありますので、わが子の様子をよく見ながら興味を持ったタイミングで、楽しい学びができるよう導いてあげることが大切です。

お子さんのやる気と自信を育めるような取り組み方の工夫やアイテムを取り入れてみましょう。

楽しく取り組める工夫

  • 時間を短くする

"たくさんやればやるほど、身につく”

そう思うのは、当然です。

「せっかく座ってくれたから・・」「集中してくれたから・・」
今がチャンス!と思って、ついつい頑張らせてしまう時もあると思います。

しかし、まずは短時間から始めましょう。

まだまだやれそうでも、あえてストップ。

お子さんが『もう終わり?もっとやりたい!』と言ってきたら、大成功です!
そんな時こそ「あと1問だけね」などと特別感を出して少し延長します。

  • ハードルは低く

他の子より遅れてしまうのがかわいそうだから・・と思い、ついつい難しいものからやらせてしまいがちです。
難しいものができるようになれば、後が楽かもしれない・・・とも思いますが、ハードルは低い位置から始めましょう。

入学を控えたお子さんなら絵と文字を合わせるところから、
ひらがなは読めるようになっているけれど、書く力を伸ばしたいお子さんは、運筆(直線や曲線を正確に書く)からスタートしてみます。

「そんな簡単なことから?」というところからスタートして、子どもの『できた!』を引き出しましょう。

ゆっくり観察することで、”つまづきどころ”も見つけやすくなります。

  • ゲーム要素を取り入れる

絵や文字のカードを使ったしりとりや神経衰弱といったゲーム要素の強い学習は、お子さんに『ひらがな=楽しい』という成功体験をもたらせます。

子どもによって”楽しい”はそれぞれ違いますから、ゆっくりお子さんに合った楽しみ方を見つけてあげてください。

ひらがな学習に役立つアイテム

  • 絵本の読み聞かせ

絵本はたくさんの文字に触れるので、文字の読み書きに興味を持つきっかけになります。最初は、字が大きくて短めのお話を選ぶのがコツです。加えて、絵本は親子がふれあえる大切な時間にもつながります。

1)あいうえおの絵本

絵本を見せながら、ひらがなの存在を知ってもらうきっかけになります。

大きな文字とイラストがついている絵本で、動物や道具の名前などのイラストや章と合わせて、ひらがなが覚えやすい内容になっています。書き順が一緒に書かれている絵本もあります。

あいうえおのえほん | よこた きよし, ようこ, いもと |本 | 通販 | Amazon

あいうえおえほん | とだ こうしろう |本 | 通販 | Amazon

2)お子さんの好きな絵本
本の主人公の名前にお子さんの名前を書いたシールを貼って読んでみます。子どもは自分の名前が出てくると、ひらがなの文字を意識することが多いので、お子さんの名前が出てきたら、名前の部分を指さすといいですね。

  • ひらがなカルタ

好きな乗り物やキャラクター付きのものをきっかけに、文字に興味を示すこともあります。

  • ひらがな探し

既にひらがなの形が理解できるようになったお子さんの場合は、街中で看板や標識を使ってクイズをしてみると良いでしょう。例えば、幼稚園や保育園の登園降園の道中で見かける車のナンバープレートにあるひらがなを探すのも楽しいかもしれませんね。

  • 積み木で文字づくり

ひらがなの読みに慣れてきたお子さんでしたら、ひらがなが書かれている積み木で遊んでみるのもお勧めです。自分の名前や言葉を積み木を並べて読んでみるのもいいでしょう。

  • 迷路&点結び&なぞり書き

ひらがなを書く練習の前に、運筆の練習として活用できます。好きなキャラクターや乗り物などの塗り絵で色塗りの練習もお勧めです。

今はネットでダウンロードできるものがたくさんあります。我が子にはどんなものが合うか様々な種類のものを提示しながら観察できるといいですね。

幼児教材・知育プリント|ちびむすドリル【幼児の学習素材館】 (happylilac.net)

無料プリント一覧 | ぷりんときっず (print-kids.net)

  • ひらがなパズル(穴埋め)

まとまったひらがながスムーズに読めるようになり、ひらがなが書けるようになってほしいと考えている場合にお勧めです。

 い〇ご
 ば〇な

などと穴埋め式の問題を作って、遊びながらやってみると楽しめるでしょう。

もし、ひらがなを書くのが少し難しい場合は、ひらがなの積み木で穴埋めして遊んでみるものいいですね。

「こんなことが学習につながった」事例集

ただ目的もなくひたすら文字の読み書きを練習するだけでは、大人だって飽きてしまいます。

あることがきっかけで学習につながったお子さんの事例をご紹介します。

「伝えたい!」という気持ち

入学してから学習障がいと気付いた男の子は、読むのは役者並みに上手、字は何語かわからない特殊な書き方の持ち主でした。


電車が好きな彼は、駅名は全て漢字を読めます。
あるとき、山手線の駅名を全て教えてくれるというので、「先生のために紙に書いて」と言うと漢字が上手に書けません。
お母さんが漢字をひらがなに直し、それを一生懸命なぞって覚え、書いて教えてくれました。

彼の「先生に自分の好きな事を伝えたい」という気持ちがひらがな学習につながったのですね。

書く

ママみたいに自分も!

年長の女の子では、単身赴任しているお父さんに手紙を書くために、ひらがなの練習を頑張った子もいました。
お母さんが手紙を書いているのを見て、真似したくなったのがきっかけだったそうです。

『ママのように、パパに手紙を書きたい!』
そんな明確な目的ができたから、頑張れたのですね。

まとめ

  • 子どものできない理由や苦手な部分を観察する
  • 子どもに合ったやり方を見つける
  • 成功体験を増やして、苦手意識を減らす

お子さんへの心配は多々あると思いますが、大人が求める成果を急がせることはせず、いつか芽が出て花開くと信じて、お子さんと楽しくひらがなを覚えることができることを願っています。

また、人と比べずに子どもを観察する力と肯定的な声掛けを継続し、子どもが安心して入学できるように支援していきたいですね。

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