インタビュー

おすすめの絵本

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株式会社 童話屋 代表・編集者の田中和雄さん。児童書・詩集および関連書籍の出版を行っています。奥様のみらいななさんは、翻訳家です。(代表作:葉っぱのフレディ いのちの旅)そんなお2人に、いまの子どもたちについて、すてきなお話を伺いました。

【日本にあふれる言葉におもうこと】の続きです。

 

ぞうさんは〇〇のうた

とても有名なぞうさんという詩をかいた、まどみちおさんは ぼくが40になってから知った詩人さんです。

 

まどさんのぞうさんの詩はね、檀生馬さんが作曲して日本中に広がって、知らないひとがいないくらい有名でしょ?

 

でも、あまりに有名すぎて、この詩が何を言っているのかを考える人はほとんどいない。

ひとりもいないといってもいい。

 

でね、阪田寛夫さん(*)は、まどさんに この詩はどういう経緯で作られたのか?と、鉛筆とノートをもってしつこく追いかけまわして、嫌がるまどさんから聞きだしたんです。

(*)さっちゃんはね♪をかいた、日本の童話会にすごい嵐を巻き起こした方

 

そうしたら、これは自分の気持ちだけどもと仰ってね、

 

『 森の仲間たち、ライオンとかキリンとか、かばとかいるでしょ?

そういう鼻が象ほどに長くはない動物たちが、象の子どもに寄ってたかって、

やーい、お前の鼻は長くておかしいや!と、言ってからかった。

要するに、いじめたんですね。

 

その時に、ぞうの子どもが、

そうよ、母さんも長いのよ。ぼくの大好きな母さんの鼻みてごらん、立派だろう。

ぼくの鼻も立派だろうと言って、自分の鼻を空に高く掲げて、長い鼻を喜んでみんなに自慢した (という詩) 』

 

びっくりしましてね、ぼく。

詩人ってのは、深いこと考えるんだと、感動してね。

 

要するに、存在の詩なんですね。

自分が自分でよかった。

自分が自分に生まれてきて、よかった。という詩を、まどさんという人は、たくさんかいたんです。

 

まどさんの詩のように、自分が自分に生まれてきてよかったと誰しもが思えたとしたら、本当は出発点なんですよね。(参考:まどみちお全詩集)

 

自分はいったい誰か?

人間が、どう生きていくか?という。

ゴーギャンの絵があるでしょ。

【 われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか 】

ゴーギャンの大テーマ。あの絵の通り。

自分はいったい誰か?というね。そういう認識が大事でね。

 

ぼくが作っている【のはらうた】というものがあります。

のはらうたにも存在のうたです。

 

みんな、フルネームで名前がついています。

かぜみつる、けやきだいさく、かまきりりゅうじ・・

なんかいいでしょう?

 

子どもたちに人気がありましてね、光村の教科書に載っているのもですから。

載ってから30年ほどになります。

 

【 おだんごぱん 】も、まさにそうなんですよね。

読んでいると、食べ物だということがどこかに行っちゃうのですが、あれは食べ物なんですよね。

食べ物が、自分の幸せな一生を全うするには、どう生きたらいいか?というね。

 

ロシア民話というのは深いんです。

あれを、あぁ~食べられちゃったで終わっちゃうと、ロシア民話が残したものが届かないんです。もったいないんです。

 

よかったね、おだんごぱんは、きつねに食べられてよかったね。

それが伝わるような読み方をすると、親子関係も変わるなぁと思うのです。

 

そこまで深く理解して訳している、絵もそこまで理解して描いているから、やっぱりすばらしい絵本になっているのです。

だから、瀬戸貞二という方は、すごく、本当に立派な方なんですね。

おだんごぱんは、寂しくなってきて・・・寂しくなってきて、一人ぽっちだからさみしいのかな?と。それはそうだろうと読み過ごしちゃうけど、ここで最初の謎をとく鍵をちゃんと潜ませている。

 

これが原文にあるのかはわからないですよ。

恐らく、ないはずです。

それから、だいたいおだんごぱんなんて言葉はね、ないんですから。

 

これはもう本当に、超訳という世界です。

訳を超えてる。

 

絵も、すごいんです。

Give and takeです。

おいしいものを食べたら、おいしかった!という顔をする。

これはやはり礼儀というものですね^^

食べ物を食べた後で、おいしかった。ごちそうさまってそういうことですよね。

 

このたった一冊で、食べるということも含めて、どういう風に生きたらいいか?ということが一冊で語られるという素晴らしい本です。

だから、そういう読み方をぜひしてほしいですね。

 

 ママたちへのメッセージ

絵本をどのように選ぶか?というのが、一番大事なんですね。

 

たくさん出ているんです。

何万冊という、図書館がいっぱいになるような子どもの本が、出ているんです。

その中から何をセレクトするか?というのが、すごく大事。

 

お母さんたちは、ご自分のお子さんの発達とか成長とかを考えて、カラダの問題でいえば良いものを食べさせるということを考えますよね。

 

要するに、食べ物が人間の体を作っていく訳だから。

 

それと同じようなレベルで、子どものこころのおっぱいになるような本をぜひ選んでほしいと思うのです。

 

江戸時代の教育学者で養生訓を書いた人がいます。

その中に、たった一つだけ良いことが書いてありまして 笑

 

子どもは何にも知らない真っ白な状態なのだから、何でも吸い取ってしまう。

だから、最初に与えるものがその子のすべてを決定することになる。

良いものを与えれば、良いものがこころの主(あるじ)になる。

 

何が心の主になるか?という事を考えると、例えばぐりとぐらを繰り返し読んでいくと、きっとおいしいものはみんなで分けて食べるとすごくおいしいと繰り返し学んでいくだろう。

そして、シェアすることの嬉しさを学ぶだろう。

 

子どもに最初に与えるものが、おっぱいが大事なように、こころのおっぱいにもいいものを選ぶということを、ぜひやらなければならない。

 

これは、難しいんです。とても。

どうしたらいいかね、わからないくらいです。

それでも、いい絵本というものを選びに選ぶと、厳密に選ぶと100冊くらいしかないんです。

 

で、100冊で十分だというと、君は出版社をやっているのにほかの出版社の営業妨害になるようなことを言うなとね、言われるんですねどね 笑

 

やっぱり、やっぱりね、そんな本読んだら子どものこころが貧しくなっていく。

という本がいっぱいあるんです。

またね、そういう本を子どもが好きなんです。

 

教育学者ではないけれど、小さいころに良いものを子どもに与える。

それしかないだろうと思うのです。

すると必ず、こころの中にそれがしみ込んでいって、色んなものがひらけていくだろうと思うのです。

 

 

例えば、『きみね、ひとの気持ちになって考えろよ』と、先生も大人もいうでしょ?

ひとの気持ちになるなんてね、ぼくらにできるはずがないんですよ。

絶対無理です。

 

その人でなければ、その人の悲しみは絶対にわからないです。

想像することはできるけどね。

 

それでも、子どもの時にね、自分が自分がというだけじゃなくて、母親になってみるということをよくやるんですね。詩の世界で。

 

そうすると、うるさいな〜母さん。でも、母さんの身になってみると、それもわかるよな〜と、ね。なるんですよ。

そこから、詩にはいっていくこともいるんですよ。

 

一生懸命に、その人と自分の関係性を考える。

その一瞬があるだけで、ずいぶんと違ってくるだろうと思う。

 

だからね、人の身になってみろなんてね、絶対にそんなことできえないのだけど、のはらうたをひとつね、誰かほかのひとの名前で書いてみると、おもしろうことがみえてくるとよということですね。

それをぜひ、のはらうたでもできるし、絵本でもいいものをセレクトしてね。

 

売れているもの、人気があるものだから…ではなく、『わたし』の方針を考えてほしい。

みんなと一緒なんて、絶対に考えない方がいい。

 

最近は、あまりいい絵本が出てこなくて残念なんです。

昔、松居直さんという福音館の社長だった人が、アートディレィターで現役の編集者だった時代に作った本が、今でも売れ続けている。

 

そういう本が100冊くらいあります。

それだけで、ぼくは十分だと思います。

たくさんはいらない。

その変わり、ものすごく厳しくセレクトしてね、深いメッセージのある良い本を与えたらいいなぁと思いますね。

 

そんな本を、深く読んでほしい。

それが、ぼくの願いです。

 

 オススメの作家さん&本

作家さん

*瀬田貞二

*うちだりさこ(内田莉莎子)

*まつおかきょうこ(松岡享子)

*いしいももこ(石井桃子)

*谷川俊太郎

 

 


ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)

 


魔法使いのABC

 


葉っぱのフレディ―いのちの旅

 


のはらうた〈5〉

 


おかあさんだいすき (岩波の子どもの本 (5))

 

 

 

インタビューアー

浜田悦子先生

<おうち療育アドバイザー浜田悦子>
『元発達支援センター指導員』で『自閉症スペクトラムの息子の母』という2つの経験を生かし、同じ悩みを持つお母様方に、家庭でできる療育アドバイスや、カウンセリングを行っている。
日常生活や社会性の悩みへの対処法を、具体的に指導。
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