学習障害の子どもの世界とは?成人した男性が語る9つの苦手と子育てに大切なこと

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学習

学習障害(LD)という言葉がTVなどでも報道されるようになったのは、ごくごく最近のことです。

まだ一部の人しかその名称を知らなかった15年以上前に、学習障害と診断された現在27歳の方のお話を伺いました。

小さいころのこと、
診断された時の気持ち、
大学院までの道のり、
母親にしてもらってよかったこと・・

学習障害のお子さまをお持ちの親御さんはもちろん、

子どもの教育に関わるすべての方に、子どもを理解するためのヒントになると嬉しいです。

学習障害とは?

学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」という6つの能力のうち、特定のものの習得と使用に、著しい困難を示す様々な状態を示すものです。

学習障害とは?

学習

※学習障害と一言で言っても、その症状は様々です。ご理解の上、ご覧ください。

 

幼児期から大人になるまでの様子

幼児期のころ

この頃すでに、「自分が他の子と違う」というのは感じていました。

特徴としては、

  • 落ち着きがない
  • みんなと一緒の行動ができない
  • いなくなる
  • いたずらがひどい
  • いつも怒られていた

みんなと一緒に行動する気はありませんでした。

何か意味があるのか?と、常に疑問を持っていました。

気になるものはとことん追いかけたくなるので、それが何なのかわかるまで、突き止めに行ってしまう。

そこでわかったら納得はするけれど、戻ってくる途中にまた何かあると、そこが気になってまた突き止めに行ってしまう。

座り込む子ども

怒られなかった日はありませんでしたが、小学校受験のために通っていた塾の先生が、

「怒る時は命にかかわる時だけ」

と母に教えてくれ、

そこから怒られなくなりました。

 

小学校のころ

授業中は寝ていました。

  • 先生の言っていることがわからない
  • せかされると何もできない
  • 物忘れがひどい

黒板を消した後に残っている跡が、一度気になったらずっと気になってしまったり、

窓の近くの席だと、光や風が気になりました。

 

でも、見るものすべてが楽しかった。

 

自分の知らない世界がとにかく楽しくって、どうしたらそれを知り尽くせるだろう?っていつも考えていました。

 

先生の言っていることはわからないけど、

例えば国語の時間は、

漢字の成り立ちをデザイン的に眺めて
「どうしてこの形なんだろう」って考えていることが、

楽しかったです。

文字

 

 

中学・高校のころ

中学時代は、一番追い詰めらました。

小5の夏からいじめがはじまり、高校1年まで続きました。

 

日常のサイクルとしては、

朝6時起床

学校

部活

夜12時まで勉強

3時まで好きなことをする

 

そんな生活でした。

 

「学校に行かない」ということは、考えたことがなかった。

いじめが原因で学校を休むことは、いじめている人たちに負けたことになる。

だから、どうにか行ってやろう・・と思っていました。

とにかく学校に行って、

その中で好きなことさえ見つければ、
そこでそのことを考えていればよかったから。

よく休まなかったな・・とは思います。

あと、

美術の先生が気に入ってくださり、いつも美術準備室にいました。
自分の居場所を見つけられたのが、よかったのだと思います。

美術

大学のころ

一言で言うと、「自由」です。

好きなものしか取らないで、好きなことしなかった。

テストは筆記テストのある科目は、とことん避け、テストがレポートや発表のものに絞って単位を取ったので、それなりの成績で卒業できました。

カメラ系とスノボのサークルに入っていました。

 

大学院のころ

大学院への進学を決めたのは、

大学時代にやっていた研究をもっと深めたいというのと、
社会人として生活していく自信がなかったからです。

身体の動きや、メンタルから考えた

「どうしてその行動が起きるのか」

ということについての研究をしていました。

 

それでも文字は読めませんでした。

論文は、ものすごい時間をかけて1ページ読んだら、寝てしまう。

最後の方は覚えてません。

ですから、

・まず読む

・気になったところを書き出す

・それをコンピュータに打ち込む

・さらにまとめる

・・という手順になるので、
すごく時間がかかりました。

パソコン

社会人

卒業後、大手建築会社の事務職として就職をしました。

自分の経験のためにも、一度は就職をしてみようと周囲とも相談し決めました。

しかし、次のことが難しく、ストレスによる感覚過敏が強くなり、今はお休みしています。

  • 電話の対応について
  • 集団に馴染む難しさ
  • 自分のデスク近辺の声以外にフロアの声にも聞き耳を立てながら、PC画面を見て作業をする難しさ

 

母親にやってもらってよかったこと

母は私にとって、ずっと「支え」でした。

母の支えがなかったら、今の自分はありません。

ここでこうやって、話していることもなかったかもしれません。

 

食事

偏食だったけど、1つの食材でもいろんな方法で調理してくれたので、好き嫌いはなくなりました。お弁当にこれを入れてと頼んだら、その通りのものを入れてくれました。

 

読み聞かせ

中学校に入るぐらいまで、寝る前に読み聞かせをしてもらいました。

発達障害の人は、根本的に寂しがり屋なので、安心感というのもそこで得ることができた。

 

自然の中で遊ぶ

蝶が好きだったので、よく山に連れて行ってくれた。そこから登山が好きになり、それはずっと続けていた。

 

1人の時間を作ってくれた

学校から帰ってきたら、1人にさせてくれた

好きなことを好きなだけ考えたり、やる時間があったのは、よかったと思います。

1人の時間

動物を飼う

他人の気持ちがわかるようになるようにと、小学校に入る前にモルモットを飼ってくれました。

そのおかげで、人との接し方は苦手だけど、

動物との接し方で、
他の「生き物」に関わることへの抵抗がなくなりました。

モルモット

 

怒られている時の気持ち

大人に怒らている時は、「いつものやつだな」って思っていました。

怒られ慣れていたので、怒られる意義が感じられなくなっていました。

ただいつも思っていたのは、

「どうして、なんで?」(怒られる理由)でした。

 

大人の方は「ダメなのはダメ!」って、頭ごなしに言う。

子どもだからってバカにしないで、ちゃんと理由を説明してほしかった。

 

成長するにつれ、どうして怒られるのかがわかってきた・・・というだけです。

 

学習障害と診断された時の気持ち

小学校5年生の時に、学習障害と診断されました。

それを聞いて、安心しました。

ずっと、

「なんでこんなに違うのかな?」

「普通の人とは違う?」

「化物じゃないのか?」

そう思っていたので・・・

 

診断されて、安心しました。

少年

 

苦手なことと、克服方法

文章を読む

字がまっすぐ読めません。読んでいる途中に、いろんなところへ目線が飛んでしまうんです。

だから、紙で隠しながら読みました。

あとは、指でなぞりながら。

でも、まばたきをした瞬間に手がずれると、もうどこを読んでいたかわからなくなります。だから、ドライアイになってしまうので、手をしっかりあてて、ぎゅっと目をつぶったりしていました。

そのうち慣れてきたら、飛ばし読みもできるようになりました。

慣らさないと何も始まらない。
慣らすにもきっかけが必要だと思っている。

 

文章力や表現力

漫画をたくさん読みました。私にとっての教科書は漫画でした。

最初は絵を眺めているだけでしたが、ある時コツをつかんで、そこから一気に入るようになりました。

会話の流れや、文章の流れも、漫画から学びました。

漫画

漢字の想起

手書きで書くと、ほとんどひらがなになってしまうので、パソコンのメリットは漢字に変換してくれることですが、漢字の使い方そのものが合っているかどうか、自信がありません。

また、「です」「ます」調で揃えることが難しく、パソコンでもそこに集中していると、論文でも口語になってしまうことがありました。

だから、パソコンだから楽・・ということもない。どちらも大変。

 

記憶すること

今でも、すぐに忘れてしまう。

子どもの頃は、「あれなんだっけな?」と思い出そうとしたことが、半年ぐらいしていきなり思い出す・・という感じでした。

成長とともにその時間が、短くなりました。

大学生ぐらいになると、1週間ぐらいで思い出せるようになりました。

 

褒められること

褒められると、覚えたものの引き出しが開けられなくなる。

カギが閉まる感じです。

LDの人は、覚えこんで、その記憶は残っているけど、必要な時にその記憶が出せなくなる

 

褒められると、その引き出しの鍵が、より強い鍵で締められる感じがするんです。

 

例えば、20問中18問できたとします。

そこで、「できたね!」って言われると、もう1回同じ問題を解いてみても5問ぐらしかできなくなります。

できたらできたで完了。
「はい、次」でいいんです。

自分は「まだできてない」って思っているから。

たまたまできたっていうのが、我々はわかっている。

だから、「◯◯できたらから、ご褒美あげるね」とか余計な一言が、鍵を強く閉めてしまうので、母には「褒めないでほしい」と言っていました。

※個人差があります

鍵

でも運動に関して、何か自己ベストを更新した時は、褒めていいんです。単純に嬉しいですから(笑)

 

テストで答えを出すこと

レポートとかだと先生に褒められるようなレポートが書けるのに、試験だとボロボロだったりします。

テストができないのは、テスト問題で、1つの答えをだすのが嫌いなんです。

1つの問いに対して、いくつもの可能性があると思うんです。

なんでその答えにしなきゃいけないの?という意味がわからなくなってしまって、答えを出すことができないんです。

 

文字だとわからない

文字にしてしまうと、途端にわからなくなります。

文字=??なんです。

数字は、4桁以上は、ただの数字の羅列に見えます。

0から9までの数字は、どうしても順番に覚えられなかったのですが、今だったら、電卓や携帯の順番で、指で覚えられます。

数字や文字は、図として理解していきます。

 

忘れてしまうこと

「忘れちゃう」という感じではなく、
「覚えているけど出せない」という感覚です。

脳から考えると、右脳と左脳を結ぶデバイスがくっついていないんです。

右脳と左脳の間のニューロンが、最短距離で行くのが普通の人。
なかなかいかないで、グルグルしているのがLDの人。

だから、時間はかかるけど、できないわけではない。

今覚えることができたのは、
たまたまそのつながりができる、きっかけがあったから。

それは人によって違うから、ひとつひとつ試していくしかないと思います。

きっかけができるまでが、我慢ですね。

記憶

ノートを取ること

ノートを取るのが苦手です。

いまだに、全部ひらがなです。

例えば、机が狭かったりすると、書きやすいように色んな方向に書いてしまいます。

本当に自由に、いろんな位置から書いてしまう。

最初は表のほう(ノートの前の方のページ)から書くけど、気づいたら後ろから書いていたとか。

ひどい時は、斜めになっていたりして(笑)

学生時代もノートがとれないし、日付も書けませんでした。

重要なポイントを押さえておこうと、四角で囲んだら、全部囲んでしまって、余計わけわからなくなったりしていました。

えんぴつ

得意なこと

できないことも多いですが、得意なこともたくさんあります。

これからは、このような”得意”を活かした仕事をしていきたいと思っています。

  • 観察し、問題点や疑問について解決方法の指摘をすること
  • 日常生活で普段目にしていることに些細な変化があれば気がつく、観察力
  • 幼児~小学低学年をあやす
  • 好きな物、事には惜しみなく持てる知識を駆使して結果を出そうとする、探求力
  • 部屋の片づけ
  • 大きい物の移動(ベット・冷蔵庫・タンスetc…)
  • 絵を描くこと
  • 物を作ること(木工・鋳造)
  • 紙と鉛筆があれば何時間でも時間をつぶせる
  • 運動をすること(スラックライン・登山・ボルダリング・自転車ポテリング・スケートボード・木登り)
  • 動物、植物の世話
  • UFOキャッチャー(大きめのヌイグルミ)
  • おしゃべり?
  • 部屋の飾り付けなどの、デザイン
  • 行きたい場所があれば徹底的に調べて現地に行く、行動力
  • 自転車のチューニング+整備
  • 指先と視覚の感覚を重要とする作業(芸術活動)
  • どんなに暗く、寂しい場所にでも光をもたらす、底抜けのポジティブ思考
  • じっくり積み上げるタイプのゲームや長時間の作業などの、根気強さ
  • ハンモックをかける良い場所を探す
  • 物もちが良い、幼児のころから使っていたものをしっかり保管してある(物が捨てられない)
  • 切り紙細工(市販の折り紙+ハサミのみ)
  • 建築の図面をひき、模型をつくること
  • イメージを3Dに起こすこと

 

学習障害のお子さまを持つ親御さんたちへ

アメリカでは、発達障害(ASD・LD・ADHD)者を”ギフテドパーソン”と言い、個々のもつ特有な個性や優れた五感や特有のセンスを持っています。
これらは、日常生活で一般的に「当たり前のことをあたりまえにやる」とこが出来ず、親にこう育てられたからという一般常識が全く通用しない世界です。
なので、無理矢理押し付け、結果をすぐ(数か月~1年)に求めず、焦らずにじっくり(物心がついてから20年程度)支えて上げて下さい。

 

取材を終えて

私達には想像のつかない、影の努力。
目に見えない努力。
子どもは、自分で自分のことを表現できません。
何がどう、わからないのか。
何をどうしてくれたら、理解しやすいのか。
大人になった方のお話は、とても貴重なものでした。
最後の「得意なこと」は、後からメールで送ってくださいました。
自分だったら、こんなに得意なことをたくさん挙げられるかな・・考えてしまいました。
「的が外れていると思います。合うものを使ってください・」とありましたが、どれも素晴らしく1つも削ることができませんでした。

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