17歳 アスペルガー症候群 「幼児の頃は不安ばかりだったけど」

お子様の現在の年齢

17歳

性別

男性

診断名

広汎性発達障害(のちにアスペルガー症候群とも)

 

乳幼児期の様子、困っていたこと

慣れない人、場所に恐怖心が強く泣いてばかりいました。
私から離れず、公園でも他の子どもたちとかかわりを持とうとしませんでした。

言葉も遅れていたので、理由を親としてもわかってあげられず困りました。
1歳で保育園に入園しましたが、何年たっても毎朝泣かれてつらかったです。

小学校入学後の様子

少しずつ会話も増えてはいましたが、特別な配慮がない団体生活が行えるのか心配でした。
入学前の教育委員会の判定は個別支援級。

判定後に本人と小学校にも行き、校長先生、個別級、保健室の養護の先生とお会いしたり、2時間程、個別支援級で授業体験をさせていただきました。

その結果、小学校の判断に従い、個別支援級に在籍しつつ、基本的に通常のクラスへ通う形で小学校生活をスタートしました。

小学校に入ると、大人の介入のない子供同士のコミュニケーションが必要になるので、楽しいことも嫌なことも、幼児の時期とは違い、毎日色々なことがありました。

一つ一つ起こったことに丁寧に向き合っているうちに、経験を積み重ねて成長できた部分は多かったです。

小学校低学年頃までは、からかわれたり刺激されると興奮してしまうことが多かったですが、高学年になると自分をコントロールできるようになってきました。

学校のルールなどはきちんと守り、問題行動もありませんでしたが、思春期に向かうこの時期は、本人にとっては我慢からのストレスも多く、自分に自信が持てなかったりと苦しいこともあったようです。

そんな中、地道にやってきた学習や、水泳で成果が出始めたりと、うまく行き始めたことも増えてきました。

やってよかったこと

入学前の療育以外は、特別なことはしませんでしたがやはり日常本人と接していただく環境(保育園、学校、近所の方)の配慮が得られたことが一番良かったと思います。

そのために、親としては色々な人にわかりやすく息子の事を説明し、このような時はこうしていただけるとありがたいと、明るく元気に!お願いしていました。
家庭では、想定できる限りの日常の出来事(どんな小さなことでも)についてのシュミレーションをして、本人がわかるように説明する日々でした。
(こういう時はこうすればいいんだよ・・・程度の声掛けレベルでも)

息子は、心の準備ができるだけで、大分生活し易くなるのでこのような気持ちの準備でうまく行くこともありました。
それから、全てにおいて努力しているところ、頑張っているところを褒め続けて、自信を失わないように明るく接することを一番大切にしています。

やればよかったこと

色々な情報があるので、その都度迷いやるべきなのか?と思う事もありました。

とはいえ、各家庭で金銭面や他の家族との関係など、無理のない範囲でできることをしてきたつもりです。
ですので、私としては過去にやればよかったと思う事は特にありません。

現在の様子と、親子関係

一般受験をし、高校生になりました。
実は、公立校の受験に失敗し、第二希望の高校に入学したのですが、何度も学校見学をして気に入って決めた学校でしたので楽しく通っています。

受験の失敗という経験も、私が心配する以上に冷静に受け止めたのを見て精神的に強くなったと実感できました。
失敗をさせない、という事も大事なのかもしれませんが、失敗してもやり直せる、誰でも失敗しているという経験をさせる事の方が長い人生では大切なのではないかと、私は思っています。

高校生になると、皆、お互いの違いを認めて自分にあった友人と無理をしないで楽しくつきあっているようです。
自宅でも、以前のように愚痴をこぼすのではなく、学校で起こった楽しい話を聞かせてくれるようになりました。

ママたちにひとこと

幼児の頃はわが子の成長の見通しが持てず、不安ばかりつのることと思います。
少しばかり先輩母になった今 、私が感じることは、ハンディがある子供も、健常と言われる子供も子育てにはそれぞれ思いがけない事があるということ。

幼少期は、すくすく育っているお子さんをうらやましく思う日々でしたが、成長に従い、親子関係が崩れたり、不登校になってしまったりする子どもたちの姿を見て、私たち親子には、幼児期から療育や学校の先生、近所の方などに見守っていただき、相談できる環境が作れたことをとてもありがたく感じています。

母自身も自分を労わって、無理をしすぎず心穏やかに楽しい毎日を過ごせるよう、お祈りしています。

2015年10月

 

編集部から

神奈川県K様よりいただきました

K様とは、私が今の活動をするずっと前からお付き合い。底抜けに明るく、美しく、いつもキラキラと輝いていて、私にとっては憧れの女性でした。

今回取材をお願いしたことで、初めて彼女がこんなにたくさんの経験をされてきたことを知り、涙が止まりませんでした。

お母さんが明るい笑顔でいてくれたから、お子様も前に前に、進んでいけたのでしょう。

発達凸凹に関係なく、子育てにはいろんなことがある。早いうちから、子どもと真剣に向き合うことができる凸凹の子育ては、幸せなことなんだと気づかされました。